第40章 これからもずっと傍に(♥)
「ツーショットも撮ろ!」
「はい」
もう少しだけ露天風呂でイチャイチャした後、二人は浴衣に着替えて、お互いの浴衣姿を携帯に収めた。もちろんツーショットも忘れずに…。
✤ ✤ ✤
夕食時になると、まるで高級料亭のような料理がテーブルにズラリと並んだ。
「凄い豪勢ですね」
「全部うまそーなのばっかじゃん。海鮮料理なだけあって、ほとんど海の幸だけどな」
鮑の踊り焼きや伊勢海老のお刺身、金目鯛の姿煮に季節の天ぷらの盛り合わせ、柚の香りを利かせた茶碗蒸しに杏仁豆腐まであり、一つ一つの皿に端正に盛り付けられている。
「ところで…何でわざわざ隣に移動して来たんです?さっきまであっちの席に座ってたじゃないですか」
料理が運ばれて来るまではテーブルを挟んだ向かい側に座っていたと云うのに、何故か今はカノトの隣に座っている。
「くっついてたいじゃん」
「それにしてはピッタリと寄りすぎなんですけど…もう少し離れてもらえます?」
「ヤダ。カノから離れたくねーもん。それにオレにあーんして食べさせてくれるんだろ?」
「さてはそれが目的ですね?」
「あーんして食わせてほしいのは本当だけど、こうやってくっついてる方がオレは安心すんだよ。ちゃんとカノがオレの傍にいてくれるって実感できるから」
「!」
安堵するように小さく笑ったマイキーの顔がどこか寂しげにも見えた。これまでに何度も突き放したり、突き放されたりしてきた。その間、自分の隣には愛する人はいない。だからこそ、マイキーは余計にカノトと離れたくないのだ。
「…仕方ないですね。いいですよ、隣にいても。今更あっちの席に戻ってなんて薄情なことは言いません」
「カノだってホントはオレに隣にいてほしいくせに素直じゃねーのな」
図星を突かれたカノトは軽くマイキーを睨むも、本人は嬉しそうにニヤニヤと笑っている。
「なぁ、早く食わせて♪」
「どれがいいですか?」
「伊勢海老の刺身!」
一口サイズにカットされた弾力のある伊勢海老の刺身を割り箸で摘んで取り、醤油を少し付けてマイキーの口元に運ぶ。
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