第40章 これからもずっと傍に(♥)
雲一つない、青く澄み渡る晴天。電車とバスを乗り継ぎ、旅館に到着した二人。今日は絶好の旅行日和だった。
「ついに来ちゃったな♪」
「凄い綺麗な旅館ですね。普通に泊まったら絶対に高い…旅行券があって良かった。」
「オレはオマエと泊まれるだけで幸せだけど♪」
「さっきからずっとニコニコしてて機嫌良さそうですねマイキーくん。そんなに楽しみにしてくれてました?」
「それもある。けどオレはオマエが"そっちの姿"で来てくれたことに感動してんの!」
「流石に男装のままで過ごすのはちょっとな…と思ったので。この服、変じゃないですか?」
「どこも変じゃねーよ。むしろ似合いすぎて可愛い!超オレの好み!マジで大好き!」
「ありがとうございます」
すこぶるマイキーの機嫌が良い。その理由は明白だ。今日のカノトの格好は、ふんわりとした白のスカートに、七分丈の青色のブラウスで女の子らしいコーデになっている。加えて胸元まであるウィッグを被り、爪にはマイキーのイメージカラーである赤いマニキュアを塗っていた。
マイキーにとってはサプライズみたいなもので、カノトを見た瞬間、嬉しさが爆上がりして人目も憚らず、抱き着いてきたのだ。
「写メ撮らせて!」
「今ですか?」
そう聞くよりも先に携帯のカメラモードでカノトの姿を写メるマイキー。パシャッと愛しい恋人の姿を写真に収めたマイキーはそれを眺め、嬉しそうに笑う。
「(オレの彼女まっじで可愛すぎんだろ。は?何?天使?可愛さが渋滞してるわ。)」
カノトの余りの可愛さに何故か怒りの感情が漏れる。ニマニマと笑みを抑えきれずにいると、近くからパシャッとシャッター音が聞こえた。
「!」
「私も撮っちゃいました。ふふ、私の写真見てニヤけるマイキーくんゲットです」
「ニヤけたところ撮ってもカッコよくねーじゃん…。もっかい撮り直して!」
「ダメです。私はこれがいいんです。それにカッコよくなくたって、マイキーくんが好きなことに変わりはないですもん」
自分の写真を見て嬉しそうに笑うマイキーのこの写真を撮り直すなんて冗談じゃない。すぐに【マイキーくんフォルダ】に保存した。
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