第37章 オレの『帰る場所』
「(でも…アイツって誰だっけ?顔が…思い出せねぇ…)」
ズキッ
「っ!」
「マイキー?どうした?」
「万次郎大丈夫?頭痛いの?」
「(んだこれ…すげぇ頭ガンガンする…)」
更に思い出そうとすると急に頭痛が襲い、痛みで顔を歪めるマイキー。ドラケンと海凪が心配そうに見ている。
「(邪魔すんじゃねーよ。やっと何か思い出せそうなんだ。もっとその奥、指輪を買って店を出た後、何が起こった…?)」
片手で頭を押さえ、痛みに必死に堪えるマイキーの脳裏に色付いた情景が浮かび出す。
"ジリリリリリ!!!!"
「そうだ!!警報…ッ!!」
「うおっ!?急にデカい声出すなよ…!!」
「ビックリした…」
二人を驚かせた事を気にも留めずに、マイキーは記憶の続きを思い出そうとする。
「(ショッピングモールで突然非常ベルが鳴って、客達がみんなパニクってて、オレも避難しねぇとって思って、それで…。…………。)」
マイキーは何かに気付いた表情で、大きく目を見開かせて驚いた。
「…ケンチン」
「!」
「オレ…階段から落ちたんじゃない…」
「は?」
「(っ、そうか…あの時…!!)」
「いやお前、逃げる客とぶつかって落ちたって言ってたじゃねーかよ」
「落ちたには落ちたけど!!でもそうじゃねーんだよ!!オレ、"突き飛ばされた"んだ…!!」
マイキーの発言に二人は驚いた顔をする。
「ハァァァ!!?」
「ケンちゃんうるさっ!!」
「突き飛ばされたって誰に!?」
「分からねぇ…。でも確かにあの時、背中を強く押されたんだ。相手の顔は見えなかったけど…そいつ、笑ってたんだよ、落ちていくオレを見てさ」
「笑ってたって…じゃあ確信犯ってこと?そいつはわざと万次郎を階段から突き落としたの?」
「あぁ」
「おいまさかとは思うけどよ…お前だけを狙う為にわざと誤作動起こして、犯行に及んだって事はねぇよな?」
「ケンちゃん怖いこと言わないでよ」
「可能性の一つとして言ってんだ。もし仮にお前を消す為にわざと犯行に及んだとしたら辻褄は合わなくはねぇだろ?」
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