第34章 記憶から消えた君
「マイキー、カノに謝れ。今のはどう考えてもお前が悪い」
「ハァ?三ツ谷まで何だよ!?」
「お前今、コイツを傷付けてんだぞ。お前は…コイツに言っちゃいけねぇ言葉を言った。普段のお前ならカノに絶対に言わない言葉をだ」
涙が零れ落ちそうになった時、三ツ谷がカノトを背中に隠す。きっと泣いてしまうカノトに気付いたからだろう。そんな三ツ谷の優しさにカノトはマイキーに泣くところを見られずに済んだとホットする。
「…傷付けたって」
流石に自分も言いすぎたと気付いたのか、マイキーもバツの悪そうな顔で目を伏せた。
「仕方ねぇじゃん…。そいつのこと、本当に知らねぇし。オレにこれ以上どうしろって言うんだよ…」
「(どうして…こんなことに…マイキーくんが私を覚えてないなんて…そんなことが…)」
立っていられなくて、体がふらりと傾く。
「カノちゃん!!」
慌てたタケミチが咄嗟にカノトの腕を掴んで、その体を支えた。
「タケミっち。そのままカノを外で休ませてやってくれ。顔色も悪い。」
青ざめるカノトを心配したドラケンがタケミチに言い、タケミチがカノトを病室の外へと連れ出した。
「…マイキー。何でショッピングモールなんかに行ってたんだ?」
「え?」
「何か用があったのか?」
「…ショッピングモール」
うわ言のように呟いたマイキーが表情を沈ませて言った。
「なんか…大事な事だったと思うけど…覚えてねぇ。そこの記憶もすっぽり抜けてるみてぇだ」
「「……………」」
ドラケンと三ツ谷は顔を見合わせ、小さく溜息を吐いた。
「なぁ、さっき言ったことマジなやつ?」
「あ?」
「アイツとオレが恋人同士って…」
「マジだよ。お前はカノに一目惚れして、男だからとか関係なしにアイツを好きになって、付き合うようになった」
「……………」
「こっちがひくくらいベタ惚れで、俺らの前だろうとお構い無しにイチャついて…まぁ主にお前がだけどな。そんで好きオーラ隠しきれてねーし、いつもカノを大事に想ってたんだよ」
「だからお前もカノも幸せだった」
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