第34章 記憶から消えた君

「ごめん…タケミチくんが心配して言ってくれてるのは凄く分かる。でも…ごめんね」



《はぁぁぁ…カノちゃんの意地っ張り。これだけ言っても無駄なんだもんなー。》



盛大な溜息を吐き出し、タケミチは呆れたように言う。



「面倒な友達でホントごめん」



《別に面倒だなんて思ってないよ。カノちゃんは相変わらず頑張り屋さんだなって呆れつつも感心してるだけ。》



「うーん…軽くディスられてる？」



《お前が落ち込んでるのってマイキー君との喧嘩が原因でもあったんだな。》



「まぁ…家の事とマイキーくんとの事が二重に重なって、ちょっとしんどいんだ。というか…家の事もあってイライラしてて…それでマイキー君に当たったってところもある…」



《本当は仲直りしたいんじゃないの？》



「したいけど…向こうは私と仲直りしたくないって思ってるかも」



《そんなはずないじゃん。》



「どうして即答できるの？」



《だってマイキーくんってカノちゃんがいないと生きていけないような人だぞ？今頃きっとお前に謝りたくて携帯と睨めっこしてるって！》



「…そうだといいね」



《絶対そうだって！どんなに激しい喧嘩してもさ、結局マイキー君はカノちゃんのことがめちゃくちゃ大好きだから完全には嫌いになれないんだよなー。》



「なんか恥ずかしい」



《カノちゃんだってそうだろ？今回の喧嘩でマイキー君のこと嫌いになった？》



「それはないよ」



《だろ？なら大丈夫だって！何があったかは聞かないけどさ、絶対仲直りできるよ！》



「自信満々に宣言したね。でももし…仲直りできなくて、私達の仲がこじれたままだったら？」



《え…それは考えてなかった。》



「えぇ〜何それ。」



可笑しくてつい笑ってしまう。



《だって二人は何回喧嘩しても最後は必ず仲直りするって思ってるし。》



「！」



《というか何日も喧嘩が続いたらマイキー君の方が堪えられなさそう。カノちゃんに構ってもらいたくて遠くからずっとチラチラ見てそう…。》



あり得る…と何故か思ってしまった。



「やっぱりタケミチくんは凄いね。ヒナちゃんが惚れる理由がわかるよ」



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