第34章 記憶から消えた君
「(マイキーくんからいつもの"おはようメール"がこない…)」
翌日、朝起きて携帯を確認すると毎朝きていたマイキーからのおはようメールが届いていなかった。
「(やっぱり昨日のことまだ怒ってるんだな…謝罪のメールも送ったけど返信来なかったし…)」
マイキーと喧嘩した後、グッと堪えていた涙が家に着いた途端に溢れ、玄関で蹲ってしばらく泣いていた。
「(目が真っ赤になっちゃったよ…)」
ベッドから下りて手鏡で自分の顔を見ると目が真っ赤に腫れており、酷かった。
「うわ…これで外なんて出歩けない」
なんとか化粧で誤魔化し…
「今は26歳じゃないんだった。しかも男装中…メイクも必要ないや」
溜息を零し、携帯の画面を見る。
「こっちから送るのもな…」
『そんなにオレが信じらんねーならもう知らねえよ』
「…あんなに怒ったマイキーくん見たの久しぶりでちょっと怖かったな」
それ以前にマイキーから突き放された事へのショックが大きくて立ち直れずにいる。
「はぁぁ…ご飯食べよ。それとタオルで目を温めないと…」
携帯を閉じて洗面所に行き、未使用のタオルを温かいお湯で濡らし、目元に当てた。
「(朝はパンでいいや。あんまりお腹空いてないし、食べる気分じゃない…)」
キッチンに向かい、マドカがスーパーで買ってきた食パンをトースターで焼き色が付くまで温め、冷蔵庫から牛乳を出してコップに注ぎ、テーブルに置いてからテレビを付ける。
「あ、よく当たるって噂の恋愛占いやってる。こういうの信じちゃうんだよなぁ」
こんがりと焼きあがった食パンにバターを塗ってサクッとかじる。少し溶けたバターがパンに染み込み、香ばしい味が口の中に広がった。
【今日の占いの順位はこちら!】
テレビ画面にパッと11位~6位までの占いの結果が映し出される。
【10位:6月生まれのあなた!】
「10位…はぁ…朝からツイてない。よりにもよって占いまで最悪なんて…」
【今日は恋人に何を言っても信じてもらえないかも〜!あんまりしつこ過ぎると相手を怒らせてしまうかもしれないので要注意!!】
「……………」
コップに口を付けたまま、占いの結果に目を見張る。"まさに今の自分だ"と…。
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