第3章 ふたりを繋ぐ証
「ちょ、ちょっとタケミチくん…愛美愛美と抗争って何!?そもそもメビウスって何!?」
「オレだって分かんねーよ!ナオトからの情報にそんなのねーぞ!?」
ナオトから叩き込まれた情報の中に東卍が愛美愛主と抗争するという話はなかった。二人はただただ混乱する。
「ぶつかるなら武蔵祭りのタイミングだ」
マイキーは石段の上に座り、にこりと笑う。
「じゃあみんなの意見を聞かせてくれ」
「「???」」
「二人に教えてやれ」
「ウッス」
何も分からないタケミチとカノトにドラケンが気を利かせ、三ツ谷に説明を求めた。
「“愛美愛主”はオレらの2つ上の世代で新宿仕切ってる暴走族だよ」
「え!?ここらを仕切ってるのは東卍じゃ!?」
「もしかしてその区ごとにチームがあるんですか?」
「あぁ。東卍は渋谷ネ、新宿は別。それにまだ東卍は新しいチームだしな」
「(東卍より大きい暴走族があるんだ…)」
「んで抗争っていうのが…」
ドッ
「うおっ」
話している途中の三ツ谷の言葉を遮るように突然タケミチは後ろから誰かに蹴り飛ばされ、地面に倒れ込む。
「痛って、何すんだ…」
「…あ?文句あっか?」
蹴り飛ばした男とは別の男がタケミチに顔を近づけ言う。
「オマエ花垣だろ?」
「喧嘩賭博の件でウチの隊のキヨマサが世話になったのう!!」
「どー落とし前つけんだコラ」
「落とし前?」
「…その前に僕の友達に何してくれてんですか」
「あ……?」
「なんだこの腹立つイケメン」
友達を蹴られ、カノトは二人を睨む。
「そもそもあの件は喧嘩賭博のはずなのにバットを要求した時点でルール違反です。あの人のせいで僕は大事な友達を失うところだったんです。怒りたいのはこっちですよ」
「ンだとコラ…?」
「宮村って言ったな。オマエ…誰に口聞いてんのか分かってて喧嘩売ってんだろーな?」
「……………」
目の前に図体のデカい男が二人迫り、その存在感にカノトは呑まれそうになるも心が折れないように掌をギュッと握りしめる。
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