第27章 実らない初恋をいつまでも
「悠生くん…女の子達から凄い誘われてたじゃん。そっちの子達を優先しなよ」
「もちろん女の子達とも回るけど、俺が一緒に回りたいって思ったのはカノトだけなんだけど?」
「残念だけど先約があるから無理。悠生くんとは回れない」
「キッパリ言うね。でもいいよ、別に一緒に回れなくても」
「(やけにあっさり引き下がった…)」
「この文化祭で、お前の心を少しでも揺らしてみせるから」
胸まで伸びた髪を人房手に取り、悠生はチュッと唇に押し当てた。
「なっ……!」
その突然の行動に驚いたカノトは、教室だということもあり、恥ずかしさで思わず頬を染める。
「い、いきなり何すんだ…!!」
「いっこ見っけ。」
「は…?」
「カノトの表情。その姿で照れるとマジで可愛い。ますます惚れる。女の子を相手にしてるみたいでなんか新鮮」
「僕は男だよッ!!というかそういうことするなって言ってるんだけど!?」
「好きな子ほどいじめたくなるんだよね♪」
「っ〜〜〜!!!」
「あはは!その顔もいいね!恥ずかしがりながら怒るのって難しいのに!カノトは器用だなあ!」
「悠生くん!笑いすぎ!」
「ごめんごめん。可愛くてつい。」
「っ…………」
可笑しそうに笑う悠生にカノトは困った顔で視線を逸らした。
「あー!!二人がイチャイチャしてるー!!」
「イッ!?そんなことしてない!!」
クラスの女子達が騒ぎ始める。咄嗟に否定するが、それを面白がった悠生が、クスッと小さく笑い、カノトの肩を抱き寄せ、悪戯っぽく笑んで言った。
「羨ましいでしょ♪」
「は!?ちょっと何言って…!!」
「てゆうかさー前から思ってたんだけど」
「こうして見ると二人ってお似合いかも!」
「は!?」
「うんうん!心叶都が女の子なら絶対に付き合って欲しいよね!」
「付き合わないよ!!そもそも僕男だし!!変な冗談やめてよ!!」
「俺はカノトが恋人でも嬉しいけど?」
「僕は全然嬉しくないからッ!!」
肩に置かれた手を引き剥がし、元の制服に着替える為、悠生から逃げるように教室を後にした。
next…