第24章 約束を破った罰として
「怖いですよ。死ぬ事を怖がらない人間は少ないんじゃないですか」
苦い笑みを浮かべた後、悲しげな表情で遠い目を宿す。
「でも…兄さんのいない世界で生き続ける事の方が…もっと怖いんです」
「!」
「幸せだった日常が一瞬で壊されて、目の前が真っ暗になりました。今まで当たり前のように傍にいてくれた人が突然いなくなってしまった深い悲しみは…忘れなくても忘れられません」
「……………」
「マイキーくんもきっとそうだったんですよね?私が突然いなくなって、悲しみや怒りが心を支配して…ずっとここまで引きずってきたんですよね」
「…分かってんなら何で…オレの傍にいてくれなかった…ずっとオマエの事を待ってたのに…何で約束を破ったんだよ。なぁ…カノ。」
マイキーの心からの叫びが胸に響く。
「オマエはオレを裏切った。その罰はちゃんと受けてもらわねーとな。」
「…殺す前に伝えたい事があるんです」
「それはもうさっき聞いた」
「いえ、これが一番重要で、どうしてもマイキーくんに伝えたかったんです」
一つ、深呼吸をして、真っ直ぐマイキーを見る。
「信じるか信じないかはマイキーくんに任せます。でも今から貴方に伝える言葉は私の心の底からの本心です」
そして、柔らかげに目を緩め、カノは満面の笑みを浮かべてマイキーに伝える。
「好きマイキーくん。昔も今もずっと貴方だけが大好き。マイキーくんと出逢えてよかった。貴方を好きになって本当に幸せです」
マイキーは大きく目を見開き、驚いた。昔と変わらない笑顔を向けるカノ。マイキーは銃を突き付けたまま、困惑顔で戸惑った。
「カノ……」
「マイキーくん?」
「オレ───……」
「カノちゃん!!」
「っ!?」
「え!?タケミチくん!?」
ぐっ!!
マイキーが何か言いかけた時、二人を見つけたタケミチが現れた。振り向いてタケミチの名前を呼んだ途端、後ろから首に腕を回され、米神に銃を押し当てられた。
「っ………!?」
「え!?マイキー君!?」
「動くな。そこから一歩でも近付けば、コイツの頭を吹き飛ばす」
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