第24章 約束を破った罰として
「ナオト!!」
「タケミチ君」
タケミチが前に住んでいたボロアパートをナオトと訪ねると一枚の写真を手にしたタケミチが驚いた顔で振り返った。
「何が、何が起きてるんだナオト…!?」
「それを今から君達に説明します」
「"君達"…?」
「……………」
「カノちゃん!?」
ナオトが横にズレると目を真っ赤に泣き腫らしたカノが立っている。
マドカを失った悲しみで表情は暗く、綺麗な紫の瞳はハイライトを無くし、虚ろな目でボー…っと地面を見下ろしている。タケミチの呼び掛けにも反応を示さない。
「カノちゃん…?」
二回目の呼び掛けで漸く気付き、地面に向けていた双眸をゆっくりとタケミチに移す。
「…大丈夫か?ひでぇ顔だぞ…?立ってるのもやっとって感じだし…どうしたんだよ?」
「…何も変わらなかった…」
「!」
「兄さんは…どこにいるの…?」
「まさか…マドカさんも…!?」
「未来は…変わったでしょう…?だから兄さんだってこの世界で生きてるはずでしょう…?なのに…どうして私の世界に…兄さんはいないままなの…?」
じわりと涙が浮かぶ。マドカも死んでいた事に驚きを隠せないタケミチは目を見開かせる。そして悔しげな顔でグッと拳を握り締めると、辛そうな声でカノに言った。
「カノちゃん、落ち着いて聞いてくれ。三ツ谷君が…死んだ。」
「…………え?」
何を言われているのか分からず、間を空けて出て来た言葉は短い驚き声だけだった。
「遺体で見つかったんだ…」
「何…言ってるの?タケミチくん。三ツ谷くんが…死んだ…?」
「戻ってきたら三ツ谷君の葬儀場にいたんだ。オレも信じられなくてニュース見たら…他殺の可能性があるって…」
「他殺って…殺されたって事…?」
タケミチは辛そうに眉を顰めたまま、何も答えない。慌てて鞄からスマホを出し、三ツ谷の死亡ニュースを検索した。
【『東京卍會』幹部・三ツ谷の遺体見つかる、他殺か。】
【三ツ谷隆さん、他殺体で発見。犯人は未だ不明。】
【殺害方法は"絞殺"か。首に絞められた痕跡あり。】
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