第23章 変わらなかった世界
「カノちゃん」
「?」
「帰ろう、未来に。」
「!」
「過去(ココ)でのミッションは全部コンプリートしちまった。だから…オレ達の本来いるべき世界に帰ろう」
「未来に…?」
「聖夜決戦で大寿は死ななかったし、稀咲を東卍から追い出せた。オマエらの過去(ココ)でのミッションはもうない」
「千冬くん…。…そっか。私達は未来の人間だもんね。本来いるべき場所は過去(ココ)じゃない。それは分かってたつもりなのに…この世界が楽しくて、つい忘れちゃうね」
へらっとどこか辛そうに笑う。
「カノ…」
「お別れだね、千冬くん」
「あぁ…」
千冬は寝そべっていた体を起こす。
「…やっぱり寂しいなぁ」
寂しげに笑うカノトに千冬も同じ顔を浮かべる。
「寂しいけどさ…お前らの生きる場所は12年後、過去(ココ)じゃねぇ。ヒナちゃんやアッくん…カノの兄貴…みんなの生きてる12年後だ」
「オレ…オレ…千冬!!今までありがとうな!!オマエがいなかったらここまで来れなかった!!もちろんオマエもだカノちゃん!!こんなオレに着いて来てくれてありがとう!!」
「うん。私も…二人がいなかったらここまで頑張れなかったよ。そもそもタケミチくんがいなければ過去に来る事もなかった。だから私からもお礼を言わせて。ありがとう、タケミチくん、千冬くん。こんな私をずっと支えてくれて。」
涙ぐんだ顔で笑えば、二人が笑い返す。
「千冬!!オマエはオレの一生で一番のマブダチだ!!」
「千冬くん。本当にありがとう!!」
「12年後にまた会おう!それまで少しだけお別れだ」
「(始まりが突然訪れるように、別れも本当に突然訪れる。未来の私達は過去には留まれない。どんなに帰りたくないと願っても…それはきっと、許されない。)」
脳裏に浮かぶのはマイキーの笑顔だ。
「カノちゃん。明日、ナオトに会う前にマイキー君達にも会いに行こうと思う。場地さんが最期に託した言葉を伝える為に」
「!」
「一緒に来てくれるか…?」
「もちろんだよ。私も最後にみんなに会いたい」
そして次の日、二人はマイキー達に会いに行った。
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