第23章 変わらなかった世界
友人が立ち上がり、女子達に猛抗議する。"やめといた方がいいのに"とも思ったが既に遅し。キランッと目をギラつかせた女子達の視線が一斉に友人に注がれた。
「な、なんだよ…」
「自分の顔、鏡で見た事ある?」
「は?あるに決まってンじゃん。顔洗う時とか身嗜み整える時とか…」
「クソほどどうでもいいわ、あんたの顔なんて。」
「ク…クソほど!!?」
「ブ男は黙って二人の引き立て役になってな!!」
ガーン…!!
「(あーあ…この空気に余計な水を差すからとばっちりを食らうんだよ。)」
「ッ、宮村ァ!!」
「涙浮かべた悔しそうな顔でこっち振り向かないでよ」
「面白くていいんじゃない?」
「!」
「正直俺がメイド姿似合うとは思わないけど…女の子達の意見を尊重したい」
ニコッと笑うと、その笑顔に射抜かれた女子達はキュンッと胸をときめかせた。
「(マイキーくんに報告したら絶対に見に来そう…う〜ん…どうするか。)」
マイキーは思った事をすぐに口に出す。普段あれだけ"可愛い"だの"ぎゅーしたい"だの言っている為、もしメイド姿のカノトを見たら何を言い出すのか分かったものじゃない。
「(みんながいる前で"ちゅーしよ!!"とか言われたら私の学校生活が終わる。それだけは絶対に避けたい。)」
「なぁカノト」
「ん?何、悠生くん?」
「昨日さ、遊園地行ってたデショ。」
「!?」
「しかも男とふたりで。」
「なっ…何を言ってる…のか…」
「咄嗟に目を逸らした時点でアウトだろ」
「悠生くんも…遊びに来てたんだね…」
「知り合った女の子とね」
「へぇ〜……」
カノトの額からダラダラと脂汗が流れる。悠生はチラリとこちらを見て言った。
「あの男、誰?」
「え"……!?」
「男と二人で出掛けんのダメだって言ってたよね?なのにアイツとは出掛けてもオッケーなの?彼女サン許してンの?」
「あ…あ〜…そうだね…」
まさかあそこに悠生くんもいたなんて!!
しかもマイキーくんと一緒にいるところ見られた…!?
これはピンチなのでは!?
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