第20章 望んだ未来の"もしも"の話
「その振袖の下の結び目って解いたらどうなんの?」
「…何でそんなこと聞くんです?」
「ちょっと聞いてみただけ♥」
ニコッと笑うマイキーに怪しさを感じた。
「袴が緩むだけですけど…」
「その帯も解いたら脱げる?」
「……………」
これは完全に…
「マイキーくん」
「ん?」
「言っておきますけど、しませんからね」
「しないって…何を?」
「…我慢するって言いましたよね?」
「うん、言った。えっちは我慢して、ちゅーはたくさんするって言った」
「分かってるならいいんです」
「でもカノがオレとのキスでそういう気分になったら、遠慮なく襲う。」
「!?」
「ガツガツ来られるのは嫌だって言っただろ?だからゆっくりシていこうと思って♪」
「え……は?」
「時間を掛けて、ゆっくり…さ───」
手を取り、マイキーは笑う。
「遅くなったけど、あけましておめでとう、カノ。今年もたくさんオレに愛されろ」
「あけましておめでとうございます、マイキーくん。今年もお手柔らかにお願いします」
手を繋いだまま、カノトはマイキーの部屋へとご招待された。そこで何があったかはご想像にお任せします。
✤ ✤ ✤
新宿───歌舞伎町。
「ぐああっ!!」
ガラの悪い男が蹴り飛ばされ、ドサッと地面に倒れ込んだ。既に別の男もやられたのか、怯えた目でその人物を見上げている。
「や、やめてくれ…」
「俺達が悪かった…!!」
「…最初に絡んで来たのはそっちでしょ。あたしに蹴り飛ばされたくらいで腰抜かしちゃってさ」
金のメッシュにピンク色のショートヘアをした青目の少女が冷たい声で言った。男達はこの少女に蹴り飛ばされたのだ。
「次、あたしに触れたら蹴り飛ばす程度じゃ済まないわよ。覚えておいて」
コクコクと必死に頷く男達を一瞥し、少女は立ち去って行く。呆然と見送った男達の顔からぶあっと脂汗が吹き出す。
「誰だよ!!あの『戦乙女』に声掛けた奴…!!」
「おめぇだよ!!」
「相変わらず無表情だったな。怖ぇ…」
「命拾いしたぜ…」
男達はホッと安堵の息を洩らした。
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