第19章 最高のお返し(♥)
どさくさに紛れて何を暴露してんだ、と顔を赤くしながら抗議の言葉を唱えた。
「姫はじめっていうんだって。」
「そういう事を聞いてるんじゃないです!!」
「オレとえっちすんの好きって言ったじゃん!」
「言ってませんけど!?」
「は?何、オレとスんの嫌いなの?」
「急に真顔で低めのトーンはやめてください…。嫌いなんじゃなくて、もう少しゆっくり進みましょう。最初からガツガツ来られると…私もどうしていいのか分からないです」
「ゆっくりならいいの?」
「はい。」
「…そっか。じゃあ、えっちは我慢する。でもちゅーはたくさんするからな!」
「お手柔らかにお願いします」
「あと着物!」
「それは難しいですねぇ」
「カノのケチ!」
「むっ…誰がケチですか!」
「オレの我儘聞いてくんなきゃやだ!」
「どこぞの王様ですか!?」
相変わらずの我儘ぷりを発揮するマイキーにカノトは困った顔を浮かべる。
「"僕"じゃ不満ですか?」
「!」
「女性物の着物なんか着なくてもマイキーくんと初詣行きたいです…」
「そんなしゅんとすんなよ。別にオマエと一緒に行けるなら袴でも何でもいいし。な?」
落ち込んだカノトを見て、ハッとしたマイキーは慌てて弁解した。珍しく焦った顔で機嫌を取ろうとしているマイキーにカノトはクスッと笑う。
「家まで迎えに行くから待ってろよ」
「バイクはダメですよ?」
「さすがに歩いて迎えに行くって」
「楽しみですね、マイキーくん」
「うん。オマエとふたりで楽しめるならオレは何だって楽しいよ」
「(26にもなって10代の少女のようにときめくなんて…)」
それほどマイキーは特別なのだ。
「もう少し休んだら出よう。遅い!!ってマドカさんにどやされても困るしな」
「はい」
「カノ、もっかいちゅーしよ」
手を繋いだまま、お互いに顔を近付け、ゆっくりと唇を重ねる。
「好きだよ」
「私も好きです、マイキーくん」
おでこをこつんと合わせ、二人は幸せそうに笑い合った。
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