第18章 ふたりきりのクリスマス
ゴッ!!
大寿のストレートが顔面に直撃し、マイキーは地面に叩きつけられた。
「………え?」
「マイキー…君?」
ゴーン!!ゴーン!!
「聖夜の鐘までオレの勝利を祝福してる!!無敵のマイキー破れたりぃぃ!!」
教会の鐘が鳴り響き、大寿は興奮したように気分を高揚させる。
「そんな…一発で…!!?」
「マイキーくん!!」
倒れたマイキーに慌てて駆け寄る。
「しっかりしてください!!」
呼びかけるも起きる気配はない。
「フハハ!!無敵も俺の前では適わなかったな!!」
「柴大寿…!!」
「あ?誰だテメェは?」
「そいつが宮村カノトだよ、ボス。」
ココに言われ、大寿が思い出したようにカノを苛立たしげに睨む。
「このチビが本当に東卍の最終兵器なのか?冗談だろ?全然不良ぽく見えねーよ」
大寿は鼻で笑い飛ばす。
「柴大寿」
「あン?」
「神に懺悔する準備はできているか」
「(何だコイツ…急に雰囲気変えやがった。)」
スッと冷たい目を宿すカノトに大寿は微かに目を見開いた。
「懺悔?何を懺悔すんだよ?」
「それも分からないなら貴方はとんだ大馬鹿者だな」
「あァ!?」
「"本当の敗北の意味を知れ"」
「何言ってんだテメェ。敗北の意味?それを向ける言葉はテメェの傍に転がってる男だろうが。なぁ!?無敵のマイキーは俺に破れた!!それこそが"本当の敗北"だ…!!」
「大寿テメェエェ!!!殺す!!!」
ブチ切れた三ツ谷が大寿に向かって走る。
「!!」
すると起き上がったマイキーの気配にぞくりとさせた大寿が振り返る。
「聖夜(祈り)は終わった」
口の端から血を流しながらマイキーは言う。
「もう止めとけ、佐野万次郎。テメェと大寿(ボス)じゃあレベルが違う。オマエはボスの覇道に転がってる小石にすぎねぇ」
「それはどうですかね青宗くん」
「!」
「確かに柴大寿の強さは圧倒的です。でも…暴力で支配する強さは人の心も傷つけます。本当の強さって云うのは喧嘩に勝つことじゃなく、どんな敵が相手でも決して諦めない心を持ち、立ち向かう勇気だと思うんです」
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