第17章 助けを求めたのは
「離せ!!」
「暴れんじゃねーよ!!」
足に力を入れて踏ん張るも、ズルズルと大きな倉庫みたいな場所に連れ込まれる。そこには既に男達の仲間が20人程集まっていて、カノトは更に顔を青ざめる。
「ん?誰よそいつ?」
「聞いて驚け。あの"皇帝"の妹だ!」
「あァ?皇帝だァ?」
「皇帝って…あの"伝説"の!?」
「妹なんていたのかよ」
「ほらガキ!とっとと入れ!!」
ドンッと背中を押され、地面に倒れ込む。
「いっ………」
掌を見れば地面で擦ったのか、擦れて血が出てしまった。じんじんと鈍い痛みに顔を歪め、キッと突き飛ばした男を睨む。
「あ?ンだよその目…生意気だな。まるであの野郎に睨まれてるみたいで腹立つから今すぐやめろ。」
「そいつ女なの?男なの?」
「兄貴の真似事してる女だよ」
「へぇ〜……」
ニヤけた笑みを浮かべた別の男が近付き、しゃがみ込むと倒れているカノトの顎を強く掴み、顔を近づける。
「よく見るとキレーな顔してんじゃん。なぁ…妹ちゃん♪」
「汚い手で僕に触るな」
「……あ?」
「あと煙草臭いから近寄んな」
ピキっと青筋を立てた男は顎から手を離し、片足を少し後ろに下げると、無言でカノトを蹴り飛ばした。
ガッ!!
体重の軽いカノトは吹き飛び、ドサッと地面に叩きつけられると激しく咳き込んだ。
「げほっ!!ごほっ!!…っ、うっ……」
「そーだ。決めた。この女をあの野郎の前で犯す」
「!?」
「昔っからあの野郎だけは気に入らねェ。不良でもねェくせに喧嘩だけは強かった。そんな野郎に…俺達は"あの時"敗けたんだぜ?」
「……………」
「なぁガキ。お前の兄貴があの時、俺らに何したか知ってるか?」
「…倒したって聞いた」
「ハッ!"倒した"ねェ…?」
「?違うの…?」
「殺されそうになったんだよ!!テメェの兄貴にな…!!」
「!!」
「テメェを助ける為に駆け付けたあの野郎は傷付いたテメェを見て頭に血が昇った。そして武器も使わず、素手と蹴りだけで俺ら全員を"殺そうとした"んだよ!!」
カノトは目を見開いた。
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