第16章 命乞いにはスイーツを。
さっきまで泣いていたタケミチが少し怒ったような顔で無理をして笑っているカノトに説教をする。
「なぁカノちゃん。オレは本気でオマエを心配してんだぞ。オマエはいつだって他人の為に動く奴だ。でも今回だけは…自分の為に動いてみてもいいんじゃないか?」
「……………」
「このままだとクリスマスにマイキーくんと会えなくなる。それでもいいのかよ?」
「…やだ。クリスマスはマイキーくんとイルミネーション見に行く約束したんだもん。すっごく…楽しみにしてるの」
「じゃあ頑張らねーとな!」
タケミチは二カッと笑う。
「オレは千冬と黒龍をぶっ潰す!オマエはクリスマスにマイキー君と会う!これが今回の追加ミッションだ!」
「ミッション…」
「ウジウジ悩む前に自分の気持ちを優先させろ!マドカさんに言われたからって諦めんな!オマエの人生はオマエのモンだ!誰かに指図されて生きる人生なんてつまんねーだろ!?もっと楽に行こうぜ!カノちゃん!」
カノトは大きく目を見開いた。
「すごいな…タケミチくんは。いつも君のその前向きさに支えられてるよ。諦めない心…私ももう少し見習おうかな」
「オレの方がオマエの強さに支えられてるぞ。いつだってオマエはオレの中では最強の勇者様だからな!」
「それは私だって同じだよ」
いつだってタケミチの諦めない強さに支えられている。どんなピンチに追い込まれても、決して心は折れない。"譲れないもの"の為に頑張るタケミチを見てきたからこそ、カノトも諦めないと決めた。
「わかった。今回はタケミチくんと千冬くんに任せる。でも絶対に無茶はしないで。危険だと思ったらすぐ逃げて」
「おう!」
「私、頑張るから!」
「いい報告待ってるからな!」
タケミチは手を差し出す。自信がついたような顔でカノトは笑い、ガシッと握手を交わした。
✤ ✤ ✤
「…ただいま」
「!」
帰宅しリビングに行くとソファに座ってテレビを見ていたマドカの後ろ姿に声を掛ける。すると驚いた顔でマドカが振り返る。
.