第16章 命乞いにはスイーツを。
「なんかやばそうな人達…」
学校帰りに立ち寄ったコンビニでお菓子やらスイーツやら買った後、"ありがとうございましたー!"と云う店員の元気な挨拶を聞き、コンビニを出れば、白い特服を着た二人組の男が少し離れた場所にいた。
初対面で話した事もないのだが、"そういうの"に敏感になったのか、一瞬でヤバい奴らだと直感する。
「(そこ通らないと家に帰れないけど…巻き込まれるのもやだし、遠回りして行こ。)」
視線を逸らそうとした時、運悪くも黒髪の方の男と目が合ってしまう。
「(げっ!こっち見た!?)」
その瞬間、思いきり背を向け、彼らのいる場所とは逆の方向に走って逃げる。決して振り返ってはいけない。振り返ったらアウトだ。きっとロクな目に遭わない。
「(本当にやばそうだった!!特に黒髪の人!!絶対眼力だけで人殺してそう…!!)」
巻き込まれるのはゴメンだ。そんな事を思って曲がり角を曲がり、安心した時だった。
「ばあっ!」
「ぎゃあ!!」
突然視界に入ったのは先程の黒髪の男だった。彼は顔の横で両手を広げ、舌をべっと出し、悪戯顔で角を曲がってきたカノトを盛大に驚かせた。
案の定、男のビビらし方に女とは思えない声を出して驚いたカノトはその拍子に尻もちをついて地面に倒れ込んだ。
「よお。テメェさっき目合ったよな?」
「め、滅相もない!」
「目合って全力で逃げたって事はぁ…オレらに会うと何かまずい事でもあんのか?」
「ハハ、まさか…」
引き攣った顔のまま立ち上がり、制服についた汚れを払い落とす。すると黒髪の男はニヤけた笑みを浮かべたまま、カノトの体を頭のてっぺんから足の爪先まで見下ろした。
「テメェどっかで見た事あんなァ?」
「人違いだと思います。それじゃあ急いでるので僕はこれで…」
「まあ待てよ」
背を向ければ、ポンっと肩に手を置かれる。思わず"ひえっ"と小さな悲鳴を上げた。
「思い出した。テメェ…東卍だろ。確か壱番隊。花垣タケミチの補佐してる奴。腹立つほどイケメンだから会ったら一発殴ってやろうかと思ってたんだよな」
「そんな理由で殴らないでくれます!?」
理不尽な理由に逃げ腰になる。
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