第12章 狙った獲物をオトす為に
「この前、こんな風に路上で女をタコ殴りにしてる奴等がいた。止めに入ったら、殴ってた奴等は…東卍のメンバーだった」
「(東卍が…?)」
「テメェらの東卍はいつから女を殴る組織になった?」
「……………」
「テメェなんてどうでもよかった。アイツを、千冬を助けたかった。アイツはずっと一人で戦ってた。なのに…テメェは何やってんだよ!?」
一虎に説教され、タケミチは気付く。この世界の自分は、千冬が頼れないぐらいに、腐ってしまったんだと…。
「東卍はデカくなっておかしくなっちまった。それなのにテメェらは率先して稀咲の小間使い。唯一の頼みだったドラケンは死刑囚。マイキーはどこにいんのかもわかんねぇ」
「……………」
「なぁタケミチ。東卍はどこに向かってんだ?マイキーさ昔…"不良の時代を創る"って言ってたよな?」
「(不良の時代…)」
「アイツの言う通り東卍はデカくなったよ。クスリ…売春…裏カジノ闇金。あらゆる犯罪に手ぇ染めて、ドデカくなった。でもよ…でも、これがマイキーの創りたかった時代か!?」
「羽宮くん…」
「これが場地の守りたかった東卍かよ!?」
『一人一人がみんなの為に命を張れる、そんなチームにしたい!』
「あの頃のあいつらはこんな東卍、望んでなかった。そうだろ!?タケミチ」
「(そうだ…違う…)」
一虎の言葉に涙を流す。
「オレの大好きだった東卍はこんなんじゃない!いつでもキラキラしてました」
「毎日が楽しかった」
「うん。オレ達の東卍を取り戻すぞ」
next…