第12章 狙った獲物をオトす為に
「三ツ谷くん!」
「おー急に呼び出して悪ぃな」
学校が終わったタイミングで携帯に着信が入り、いつものようにマイキーからかと思えば、三ツ谷からで、珍しいなと電話に出ると"渡したい物がある"と言われ、待ち合わせ場所に急いで向かった。
「遅れてすみません!」
「いいよ、呼び出したのはオレだし」
「それで…渡したい物とは?」
「コレ」
説明もなしに紙袋を渡される。受け取るも困った顔で三ツ谷を見た。
「開けてみろよ」
「はい……」
何が入っているのか分からず、恐る恐る紙袋の中身を出す。
「!これって……」
「特攻服(トップク)」
両手で広げて持てば、金の刺繍で"東京卍會"と背中に縫われており、右腕には"暴走卍愚連隊"、左腕には"東卍京"と縫われている。
「オレらにとっての一番の晴れ着(フォーマル)は特攻服だろ!だからオマエのも仕立てたんだ」
「え!?三ツ谷くんのお手製ですか!?」
「一応手芸部の部長やってるからな。元々手先は器用な方なんだよ」
「(手芸部の部長…三ツ谷くんが?)」
「オレなりの感謝の気持ちだよカノ」
「僕、三ツ谷くんに感謝されるほどのことしましたっけ?」
「8.3抗争ではドラケン救ってくれて、"血のハロウィン"ではみんなの目を覚まさせてくれた」
「それは…ほとんどタケミチくんが頑張ってくれたおかげです。僕は彼をサポートしただけですよ」
「謙遜すんなよ。オマエは…何があってもマイキーの傍を離れなかった。アイツが怒りで我を失って暴走しちまった時も、オマエは必死にマイキーを止めてくれた。本当…オマエがアイツの傍にいてくれて良かったよ」
「三ツ谷くん…」
「そこも含めてカノには感謝してる。だからオマエとタケミっちの特攻服は絶ッ対ェ、オレが仕立てたかったんだ」
「……………」
改めて三ツ谷が仕立てた特攻服を見る。
「三ツ谷くん、ありがとうございます」
「いいって。オレが勝手にやってる事だ」
「(でもコレを兄さんに見られたらまずい。卒倒しちゃうかもしれない…)」
「明日の集会が楽しみだな」
三ツ谷はニッと笑って言った。
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