第11章 やっと手に入れたモノ
「カノトもいるなんて驚いた」
「あ…買い物してて…それで友達の付き添いで…」
「友達…?」
「宮村!返事きた!」
「あ、すっかり忘れてた」
「おい!忘れんなよ!」
携帯の画面を見ながらカノトに近づく友人を見た途端、マイキーの眉間がぐっと顰められる。
「誰そいつ?」
「クラスメイトの…」
「こんちは。宮村から話聞いてますよ。"他校の先輩"なんスよね?」
「テメェに聞いてねぇよ」
むすっとした顔で凄むマイキーに友人もぴゃっと体を縮こませ、カノトの後ろに隠れる。
「何なんだよあの人!!めっちゃ怖くねぇ!?俺挨拶しただけなんだけど!?」
「(分かる。私もちょっと怖かった…)」
「こらマイキー!初対面の人に向かって失礼でしょ!」
「そいつにベタベタ触んな」
「…別にアンタのモノじゃねぇじゃん」
「は?テメェのモンでもねーだろ」
マイキーがイラッとし、立ち上がる。
「ただの"他校の先輩"なんだろ。俺がコイツに触ったくらいで怒らないでくれます?」
「"他校の先輩""他校の先輩"うるせぇな。テメェはただの"クラスメイト"だろうが。オマエ…殺されてぇの?」
総長としての顔を覗かせたマイキーにこれはまずいと慌てて助けを求める。
「ちょ…ちょっと二人とも!ドラケンくん!見てないで何とかしてください…!」
「あ、ドラケン君なら既に帰ったけど…」
「(何故帰る…!!)」
「あ〜!"チャッピー"!」
「!」
「(チャッピー?)」
ピリついた空気を壊すように、その場に似つかわしくない高い声が響いた。それに気付いた友人がバッと振り返り、嬉しそうに笑った。
「"めぐたん"…!!」
「は?めぐたん?」
ゆるふわ系の洋服を身に纏った女の子が友人を見つけるとニコッと笑いながら近付いて来る。
「チャッピーって?」
「俺のハンドルネーム!」
「ネーミングセンスないね」
「うっせ!めぐた〜ん!」
「遅れてごめんね〜」
「全然!君の為なら何時間だって待つさ!」
「いやん男らしい〜」
「(え…誰?キャラ違くない?)」
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