第1章 タイムリープ
2017年────東京。
「そこのお姉さん、今暇?」
「暇じゃありません」
「んー素っ気ない態度もイイね!お姉さん美人だし男達が放っておかないでしょ!」
「……………」
友達の家に向かう途中、道端でチャラそうな男のナンパに引っかかった。派手な髪色と軽薄そうな態度を不愉快に思い、顔をしかめて無視して歩き出しても男は着いてくる。
「あっれ〜?無視?無視なの?」
「しつこいのですが」
「ね、ちょっとお茶しよ!」
「これから仕事なので無理です」
適当に嘘を吐いて逃げ切ろうとしたが、男はそれでもめげずにカノに付きまとう。
「仕事何してんの?あ!オレ当ててあげる!んー…お姉さん美人だし、そうだなあ…」
「(煩いし存在が邪魔だな。)」
「分かった!!“あっち系”でしょ!」
何も分かってないじゃないか。イラッとして更に顔をしかめた。
「お?正解?いやぁーオレ、その人見ただけで何の職業か当てちゃうんだよね〜!」
「……………」
「お姉さん見た目美人だけど頼めばすぐにヤラせてくれそうな感じ…」
「貴方みたいなクソ野郎、土下座されたってお断りですよ」
「……あ?」
「とっとと帰れ、クズ。」
立ち止まり、失礼な男をじろりと睨みつけ、辛辣な言葉を吐き捨てた。その態度に男も本性を表し、苛立ちの表情を浮かべる。
「テメェ…調子に乗ってんじゃねーぞ!!こっちが優しくしてりゃあ生意気言いやがって!!」
通行人達がチラチラと二人を見ているが、関わりたくないので素通りを決め込む。逆上した男はカノの胸ぐらを掴んだ。
「女のクセにイキがってんじゃねぇぞ!!女は男を満足させる為だけの玩具なんだよ!!今すぐオレに謝れ!!土下座しろ…!!」
“女のクセに”
そのワードを踏んだ男にカノはキレた。持っていた鞄を地面に落とし、胸ぐらを掴んでいる男の腕を掴み返す。
「あ?何だよこの手は。」
「“天誅”」
体を反転させながらぐんっと男の腕を上から下へと引っ張るように下ろす。
「うおっ!?」
男の体は簡単に浮き上がり、今いた位置から反対側へと背負い投げられた。
ドシンッ
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