第8章 寂しがりな君に贈るキス
「マイキーくん」
「ん?」
「あったかいですね」
「オレがあったかいんじゃなくて、カノの体温があったかいんだよ」
ギュゥっとマイキーはカノトの温もりを確かめるように抱きしめた。
「ちゅーもしていい?」
にっこりと微笑まれ、頬を染める。
「ねー、ちゅーしよー」
「さ、さっき…その…したじゃないですか」
「あれだけじゃ全然足りない。」
「!?」
真顔でスパッと言い切られた。
「ぎゅーってしながらちゅーしたい」
「…マイキーくん、キス好きですね」
「オマエとのキスじゃなきゃしねーよ」
「(ときめき死…。)」
「ダメ?あんな事したからもうオレとはちゅーしたくない?」
ふるふると首を横に振る。
「…別に、あんな事をしたからって…その…したくないわけじゃ…」
「すぐ照れるね」
「からかわないでください」
「からかってねェよ。ただオレの言葉一つで赤くなるカノが可愛いなって思っただけ。ま、いつも可愛いって思ってるけど」
「なっ……!」
「だから…もっとたくさん、キスしよ。さっきオマエがオレへの“好き”をキスに込めたように、オレもオマエに“好き”っていう想いをキスに込めたい」
甘々なセリフと優しい声にドキドキが鳴り止まない。マイキーの肩口に顔を埋めて隠したいくらいだ。
「…マイキーくん」
「なぁに」
「…キス、してください」
「うん、たっくさんしよ」
愛おしげに笑ったマイキーの声が嬉しげに弾む。カノトも照れたように笑う。二人はお互いに顔を近付け、目を閉じると同時に唇を重ねた。
初めは啄むような優しいキス。何度も角度を変え、“好き”の気持ちをお互いにぶつける。そしてマイキーがぐっと唇を押し付け、ピクッと反応したカノトが驚いて目を開ける。
バチッと目が合い、思わず身を引こうとするが、両手が背中に回っている為、逃がさないというようにホールドしている。
そして再び唇が重ねられ、今度は深いキスをされる。“好き、大好き、すげー好き、愛してる”とキスを通じて訴えかけてくるマイキーの想いに照れながらも、カノトも必死に想いを返すのだった。
next…