第1章 タイムリープ
「もういいよ!!タケミチ!!」
「まだまだ…」
「(意識が朦朧としてる。いつ気を失ってもおかしくないはずなのに…)」
キヨマサが咥えている煙草をプッと捨てると、いるだけでも喧しいギャラリー達の盛り上がりがヒートアップする。
「殺せー!!キヨマサ君!!」
「処ッ刑!処ッ刑!」
処刑コールが響き渡る。
「(何が処刑だ。人の命を何だと思ってんだ。こんなので処刑されてたまるか。)」
悔しくなってギリッと歯を噛み締めた。
何度やられても倒れない。そんなタケミチを一方的な暴力で殴り続ける。
喧嘩賭博を見ていたギャラリー達は最初こそ盛り上がっていたが、今の状況に引き始めていた。
「もういいってタケミチ!!!」
「マジで死んじまうぞ!!」
仲間達が必死にタケミチを止めようとする。それでもタケミチは絶対に諦めなかった。
「負けるなヒーロー!!」
「!」
ついに我慢ができなくなったカノトはボロボロになりながらも必死に立ち向かうタケミチの姿を見てエールを送る。
「あ?お前なに一人で盛り上がってんの?」
「花垣が負けるに決まってんだろ!」
「なにエールなんか送ってんだよ!」
「うるさい!!一々喧しいんだよ!!」
「何だとテメー!!」
「何が処刑だ!!何が喧嘩賭博だ!!たった一つしかない命を何だと思ってる!!面白半分で喧嘩賭博なんかしやがって!!」
カノトは怒りが抑えきれず、キヨマサをギロッと睨む。
「ふざけんな!!人の命を軽々しく弄ぶゴミクズ以下のゲス野郎め!!」
「お、おい…やめろって」
「キヨマサ君に殺されるぞお前…!」
キヨマサの顔色を窺いながらギャラリー達はブチ切れるカノトを止めようとする。
カノトはタケミチに向かって叫んだ。
「君は逃げない!!いつでも勇者がついてるぞ!!だから頑張れ!!君なら絶対大丈夫だ!!」
「カノちゃん…」
その言葉にタケミチは笑う。
「(絶対に大丈夫!タケミチくんなら…きっと立ち向かえる!)」
勝負は
最後まで諦めなかった方が
勝つ────!!
next…