第7章 秘密、バレちゃいました。
「仮にオマエに立ち向かう勇気があったとしてだ。オレらの世界では血が流れる事もあるし、“暴走族”ってだけで周りから煙たがれる事だってある。オマエはそれに耐えられんのか?」
「……………」
「ま、無理だろうな。人を殺せなさそうな顔してるし」
「…いいえ。たぶん、殺せます。」
「あ?」
「もしその相手が僕の大切な人を殺したら…きっと僕はその人を殺せると思うんです」
カノトの言葉に場地は目を見開いた。
「(コイツ…冗談で言ってんじゃねぇな。)」
空虚な眼差しで遠くを見つめるカノトに場地は危うい存在感を感じる。
「オマエ、目を離すと危ねぇな」
「どういう意味ですか?」
「……………」
場地の言っている意味が理解できず、カノトは不思議そうな顔をする。
「宮村っつったか?」
「はい」
「オマエの“やるべき事”ってのは…血腥い事とかじゃねぇよな?」
「……………」
無表情で場地を見つめるが、すぐに笑い、否定した。
「まさか、考え過ぎですよ。血腥い事なんて…。ただ…守りたいものがあるだけです」
「……………」
「場地さんは…本当に東卍を辞めて芭流覇羅に行くつもりなんですか?」
「“つもり”じゃねぇよ。もう東卍には戻らねぇ。オレは芭流覇羅に行く」
「それは…何か考えがあって?」
「オマエに関係ねぇよ」
冷たくあしらわれてしまう。
「もう話は済んだろ。とっとと帰れ」
「…はい。引き留めてすみません。これで失礼します」
頭を下げ、その場から立ち去る。場地はその背中をじっと見つめていたが、すぐに踵を返し、歩き出した。
✤ ✤ ✤
「遅せぇ」
「!マイキーくん!」
神社に戻ると石段に座ってカノトが戻ってくるのを待っていたマイキーがいた。
「急に消えんなよ。心配したじゃん」
「まさか…集会終わってからずっと待っててくれたんですか?」
「すげぇ待った。なのにオマエはいつまでも帰って来ねーし…どこ行ってたの?」
「えーと…」
場地と会ったことを伝えていいのだろうかと迷っていると、マイキーが立ち上がり、カノトに近寄る。
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