第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ

「どこで育て方を間違えたのか…。望は私の為に努力して頑張ってきたというのに…どうしてお前は子供の頃から私を困らせる？やはり甘やかし過ぎたか」



「いい加減にして…!!」



理不尽な父親の言葉にカノは怒って声を荒らげる。



「家にいる間はずっとちゃんとしなきゃって気を張ってたの!!貴方が見ているから!!私だって貴方に言われた通り、子供の頃から宮村家の為に勉強してきた!!でも貴方は私のその努力を認めてくれなかったじゃない!!」



「私が何故お前の努力を認めないか教えてやろうか」



「！」



「お前は昔一度、“勉強が辛くてご飯も喉を通らないから少し息抜きしたい”と私に言ったな？」



「！」



「望は一度も弱音を吐いた事はなかった。けどお前は弱音を吐いた。望より努力をして来なかったお前が何故、望より先に弱音を吐く？それが認めない理由だ」



「……………」



カノは悔しげに父親を睨む。



「望が全てを捨てて家を出たいと言ったのも…きっとお前が望に泣き縋ったんだろう？“自由になりたい”とでも言ったのか？」



「違う…！」



「望は私の跡を継ぐはずだったんだ。なのに…お前が弱いせいで、望はお前を連れて宮村家を出て行った。心叶…お前は私の跡取りを潰したんだ」



「…さっきから跡取り跡取りってうるさい」



「何……？」



「兄さんは貴方の道具じゃない。操り人形でもない。兄さんの人生は兄さんだけのもの。貴方が兄さんの未来を決めないで」



「……………」



「ねぇ覚えてる？昔、貴方が小さい頃から私に言ってきた言葉。“子供だからと甘えるな”って。私、一度だって貴方に甘えた事も、甘やかしてもらった事もないよ」



冷たい目を向ける。



「その言葉が悔しかったから強くなろうって決めたの。女だからと馬鹿にされたくないから。貴方の言葉に反抗していたかったから。それでも貴方はまだ…私を縛り付けておくんだね」



この人の言葉は全部


呪いの言葉に聞こえる



「家を出てから今日まで一切何の連絡もして来なかった人が…どうして私と兄さんの幸せを邪魔するの？」



「……………」



「どうして…私達を自由にさせてくれないの？」



悔しくて涙が出そうになる。



.