第61章 巡り会って、また恋をして。
「カノー!そろそろ朝飯できるぞー!」
「んん……」
タイムリープの感覚と共に目を覚ましたカノはベッドの上で朝を迎え、部屋の外から聞こえたマドカの声に驚いて飛び起きる。
「え!?私の部屋!?」
周りを見回すと自分の部屋にいる事に気付き、状況が呑み込めず混乱していると、枕元に置いてある目覚まし時計が視界に入る。
「は!!?1998年!!?」
時計の日付が1998年の9月10日を表していた。
「(どういう事!?一体何が起きてるの!?)」
ベッドから下りて急いで部屋を飛び出し、洗面所に向かう。そして鏡に映った自分の姿を見た瞬間、更に驚愕して目を見開く。
「嘘…私の体、小さくなってる!?」
まるで時間が巻き戻ったかのように自分の姿が中学1年生から小学1年生へと若返っていた。
「何で突然幼くなったの…?」
幼くなった自分が信じられず、鏡に顔を近付けて片手で頬に触れてみる。
「(私、万次郎くんに刺されて死んだんだよね。それなのに生きてるなんて…。え…まさかタイムリープした?それとも夢?)」
そう自分に言い聞かせてみるが、夢にしては現実味を帯びており、ますます混乱する。
「(本当に…何が起こったの?)」
「おーいカノー?まだ顔洗ってんのかー?飯冷めちまうぞー」
「い、今行くよ兄さん!」
ここで考えても仕方がないため、ひとまず今は顔を洗って着替えた後、リビングに行ってマドカと一緒に朝食を取ることにした。
「ねぇ兄さん」
「ん?」
「あのね…聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
少し甘めの卵焼きを箸で割りながら向かい側に座って白米を口に運んでいるマドカに尋ねる。
「知ってたらでいいんだけど…」
「なんだよ改まって。どうした?」
「兄さんの知り合いに…"佐野"って苗字のお友達って、いる…?」
「!」
恐る恐る聞くと、茶碗に添えていたマドカの指先がピクッと反応する。カノの方に顔を向けると少し驚いた様子で聞き返す。
「真一郎のこと、お前に話したっけ?」
「!!」
「そいつの苗字が佐野だよ」
ギュッと掌を握り、更にマドカに尋ねる。
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