第59章 最終決戦
「次は誰が相手してくれるの?もう少し骨のある奴だと倒し甲斐があって良いんだけど」
「クソ…調子に乗ってンじゃねぇ!!」
「女みたいな顔しやがって!!」
「その顔ボコボコに歪ませてやるよ!!」
安い挑発に乗る単純さに呆れ顔を浮かべながら、向かってくる敵を次々と倒していく。
「途中から数えるの忘れてたけど…30は倒したかな。それにしても攻撃パターンが読めてつまらない。まぁ…下っ端だとこんなものか」
周囲にはカノトの手によって粛清された男達が転がっている。特服に付着した汚れを払い落とし、次の敵を倒しに行こうとした時。
ぞくっ
「っ───!」
背後から伸びてきた手の気配に何故か悪寒が走り、咄嗟に距離を取った。そしてその悪寒の正体が何かを知ったカノトは、露骨に顔を歪め、不愉快そうに目の前を見据える。
「(ここでか…。)」
「勇者チャン見っけ❤︎」
黒マスクを外した半間はカノトの姿を見つけると愉しげに声を弾ませ、ニヤリと笑う。
「やっぱ強ぇな勇者チャン。兵隊共がみんな瞬殺だ♪」
「半間…」
「苗字で呼ぶなんて寂しいじゃんか。昔みたいに"修二くん"って呼んでくれよ♪」
「………………」
ここまできたら改めて思う。自分に対するこの男の執着心は異常だと。狂気を孕んだ瞳は再会した時から恐怖の対象だった。"どんな手を使ってでも絶対に捕まえる"──この男からはいつもそんな執着心が滲み出ていた。
「そんなに怖い顔で睨むなよ勇者チャン。こうしてまた会えたんだ。再会を喜び合おうぜ?」
「君との再会を僕が喜ぶとでも思ってるのか」
「喜ぶだろ?だってオレらの再会は神様が用意してくれた最高の贈り物なんだからな♪」
「君に贈り物をする神様もどうやら君と同じでどこか狂ってるらしいな」
「ばは❤︎相変わらず辛辣だな勇者チャンは!」
嫌味を言われたハズなのに全くダメージを受けなかった半間はむしろ、カノトの悪態に笑いまで零している。
「(本当に気味の悪い男だな…)」
「…ところで勇者チャン」
笑いを止めた半間は急に無表情になると、こちらを見ているカノトに言葉を投げかけた。
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