第58章 かつての仲間と共に
「うん!盛り付けも完璧!」
「うわぁ〜!美味しそう!!」
「これなら三ツ谷くんもきっと食べてくれるよ」
「ありがとう美人なお兄ちゃん!」
「どういたしまして」
出来上がったパンケーキにラップを掛けて三ツ谷のところに運ぶ。黙々と作業に集中している三ツ谷はカノトが後ろに立っていることすら気付いていない。
「三ツ谷くん」
「…まだいたのか」
「ルナちゃんと一緒にパンケーキを作ったんです。三ツ谷くんに食べて欲しくて。お腹が空いた時でいいので食べて下さいね」
「………………」
「少し、話しませんか?」
カノトは三ツ谷を近くの公園へと連れ出し、ブランコに座る。
「…話って何だ?」
「関東卍會に勝つために新しいチームを創ったんです。僕はマイキーくんを助けるために彼と戦います。それで三ツ谷くんも誘いに来ました」
「………………」
そう告げても三ツ谷は何の反応も見せない。それを分かっていたカノトは誰もいない公園を眺めながら言葉を続ける。
「でも…さっきの三ツ谷くんを見て少し仲間に誘う事を迷っています。三ツ谷くん…寝る間も惜しんで服を作るのには何か理由があるんじゃないですか?」
「…アイツに」
「?」
「見してやりてぇんだ」
"雪が降ってたっけ"と最後にドラケンに会った時のことを回想し始める三ツ谷。
『久しぶりだな、ドラケン』
『元気か?三ツ谷!』
雪が降っている日、久しぶりに顔を合わせた二人はまずお互いの現状を話し合う。
『服の方、上手くいってんの?』
『まあぼちぼち。バイク屋は?』
『まあ儲かんねぇけどさ、イヌピーとほそぼそとやってるよ』
『へーお互い大変だな』
神社の階段を登っていると、ドラケンは三ツ谷に問いかける。
『三ツ谷ー』
『ん?どうした急に大きい声出して』
『東卍じゃない自分にもう慣れたか?』
『!』
『オレはどうやらいつまでも慣れなさそうだ…。…だから不良の世界に戻ろうと思う』
『ドラケン…』
『オレはマイキーを引きずって生きる。オマエは絶ッ対ェデザイナーになれよ』
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