第58章 かつての仲間と共に
「男同士の強い絆っていいよな!ま、俺とお前も普通の友達にはねぇ強い絆があるもんな!」
「そこまで強い絆はないと思うけど」
「おおい!?そこは否定すんな!!中学の時から俺ら一緒だったじゃんか!!その頃からお前の1番の親友は俺だっただろ!?」
ショックを受けた陽翔は椅子から立ち上がり、ベッドテーブルをバンッと叩く。
「親友…」
「え…嘘だよな?俺ら親友だろ?学校にいる全生徒の誰よりもお前のこと分かってんのは俺しかいない!!むしろ俺以外にあり得ない…!!」
「分かったから落ち着いて。少しからかっただけだよ。僕だって君のことは1番の親友って思ってる」
「宮村〜!!」
落ち込んだり怒ったり本当に感情が豊かだなと思いながら冗談だと言えば、パッと涙を浮かべた嬉しそうな顔で手をガシッと掴まれる。
「俺もお前のことは親友だと思ってるから!!」
「はいはい」
「なぁ退院したらどっか遊びに行こうぜ!」
「いいね」
「あ、でも、お前の先輩に怒られるよな?あの人、お前が自分以外の男と遊びに行くの許さなかっただろ?」
「いや大丈夫、もう別れてるし」
「は?別れたって…マジで?」
「うん」
平然とした顔でマイキーとの関係が既に終わっていることを伝えると、陽翔は驚いた顔で目を見開いていた。
「だってあの先輩、お前のこと溺愛してたじゃん。俺がお前に触っただけでブチ切れる人だぞ?それなのに…よく別れられたな?」
「僕がフラれたんだ」
「えぇ!?お前がフラれたの!?自分のこと美形だのモテるだの常日頃から自慢げに話してたお前が!?初めてフラれたのか!?」
「…その言い方なんだか悪意があるんだけど」
カノトはムッと顔をしかめる。
「(マジか…何かあったとは思ってたけど、まさか既に終わってたなんて。)」
「だから気にしないで。どうせなら委員長も誘って三人で遊びに行こうよ」
「…大丈夫か?」
「?大丈夫って、何が?」
「いや…その…お前ってあの人のこと大好きだったじゃん。だから辛くねぇのかなって…」
「何で君が辛そうな顔してるの?」
可笑しそうにカノトは笑う。
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