第5章 ミッション失敗…?
「カノ」
マイキーが名前を呼ぶ。
「アイツにオマエを渡す気なんかねぇから心配すんな」
「!」
「だから笑ってろ」
「マイキーくん…」
「祭りの時みたいにさ」
振り向いて笑うマイキーにカノトも笑い返す。
「はい!」
「ん、いい返事。」
そして表情を消し、半間を見る。
「…ムカつくな、マイキー。オマエ、勇者チャンを自分の手元に置いて何させる気だ?」
「それはこっちのセリフだ。オマエこそコイツ捕まえて何させるつもりだ」
殺気がバチバチとぶつかり合う。その空気に呑まれそうになっているとマイキーがもう一度、“カノ…”と呼んだ。
「ケンチンを探してくれ。半間はオレが相手するから」
「…わかりました」
半間を人睨みした後、前からは行かず、人と人の間を上手く縫って右からドラケンを探しに行った。
「はぁ…勇者チャンが逃げちまった」
深い溜息を吐き捨てた半間はスッと目の色を変え、鋭くマイキーを睨みつける。
「テメェのせいでな、マイキー」
「あ?」
「オマエを鏖にして、勇者チャンを奪う!」
「…そんな事、させねぇよ」
✤ ✤ ✤
「ドラケンくん!!ドラケンくん…!!」
一向に見つからず、苛立ちが募る。
「もう…どこにいるの!!」
「ドラケン君…!!」
その時、タケミチの叫び声が聞こえ、カノトもそちらに顔を向けた。
「あ…あぁ…」
涙を流すタケミチの傍にはキヨマサに刺されて地面に倒れたドラケンがいた。
「どうした!?タケミっち」
「ドラケン君が…ドラケン君が、刺された!!!」
カノトは人と人の間を上手く避けて通り、タケミチに駆け寄る。
「どうして…なんで…」
「終わった。全部終わっちまった。ドラケンが…死んじまった!!」
「タケミチくん…」
「タケミっち!!!」
マイキーに名前を呼ばれ、ビクッとタケミチは体を跳ねさせる。するとドラケンがゲホッと口から血を吐き出した。
「!!」
「タケミチくん!まだドラケンくんは生きてる!」
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