第52章 辿り着いた未来
《それでは本日の主役、新郎新婦のご入場です!!》
「…林田君ってパーちん!?」
「パーちんくんが結婚…」
「えー…本日はお日柄もよろしく…え…えーっと雲一つなくて…えーっと晴天で…」
「天気予報か!」
緊張して上がりまくりのパーちんに、一虎が茶化すようにツッコむ。
「うっせぇ!!パーちんの脳みそは干からびてんだよ!カラカラだぞ!?」
「ぺーやんがいつも一番ひでぇ」
「うっせぇ三ツ谷!!」
「(ぺーやんくんに三ツ谷くん…)」
「ぺーやん君うるさいっスよ」
「テメェらマジでうっせぇ!!殺す!!」
「兄ちゃんが一番うるさい」
「(青宗くんにスマイリーくんとアングリーくんもいる。)」
昔と何一つ変わらないみんなの様子を見て、カノの目に涙が浮かぶ。
「おいおい、パーちんはまだ喋ってんぞ」
「みんなひでぇよなぁ。な?タケミっち、カノ。」
「(みんなが生きてる。みんなが幸せそうに笑ってる。本当に未来は変わったんだ。)」
「カノちゃん…みんな生きてる」
「うん…」
「みんな…幸せそうに笑ってる」
「うん」
「ここまで来るのに…随分と冒険し過ぎちまったな…勇者様」
カノと同じ気持ちなのか、タケミチの目にも涙が滲んでいた。
「遠回りもしたけど…ようやくゴールに辿り着けたね。キミのおかげでここまで来れた。ありがとう、ヒーロー」
「それはこっちのセリフだ。こんなオレと一緒に戦ってくれてありがとな」
涙を流しながらタケミチが笑う。それにつられてカノもニコリと笑い返す。
「(やっと…取り戻せた。)」
この時 あまりの出来事に
重大な事を見落としていた
万次郎くん…
私は貴方を孤独から救えなかった───……
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