第52章 辿り着いた未来
「いいなそれ!秘密の恋人って響きがなんかエロくて好き!」
「すぐそういう思考に走りますね」
「仕方ねぇな〜。もう少し秘密の恋人ってやつに付き合ってやるか」
るん♪っとご機嫌になったマイキーに、内心カノトはホッと安堵して胸を撫で下ろす。
「それにしても東卍が日本のトップなんて凄いですね」
「!」
「新たな時代が始まりますよ」
「そのことなんだけどさ…」
「?」
「オレ…ずっと考えてたことがあるんだ」
不意にマイキーが落ち着いたトーンで話し始め、カノトは疑問符を頭に浮かべる。
「東卍は今、日本の頂点(トップ)に立って、新たな時代が動き始めた。オマエが怯え続けてきた『最悪な未来』はもう来ない。でも…それだけじゃダメなんじゃねぇかって気付いたんだ」
「どういうことですか?」
「"未来を変える為"の一番良い方法を思いついた」
迷いを無くした声でハッキリと告げたマイキーの様子を不思議に思い、カノトは後ろを振り向いた。
「東卍を解散させる」
「え!?」
東卍を…解散…?
「本気ですか…?」
「あぁ。今回の抗争で大きな犠牲を払ったけど、天竺を潰して東卍は日本の頂点(トップ)に立った。オレらはこれから何世代も語り継がれる時代を創った。だから…頂点の時に終わらせたい」
「万次郎くん…」
誰よりも東卍を愛し、誰よりも仲間の為に戦ってきた彼は、何度も傷付き、何度も失い、何度も許してきた。そんな彼が『良い未来』を守るために東卍を終わらせようとしている。
「頂点の今終わらせた方が絶対に良い未来になる。そうなれば、オレとオマエが二人で幸せになる未来だってずっと続くだろ?」
「万次郎くんが決めたことなら反対はしません。少し寂しい気もしますが」
「明日の集会で発表する。オマエも近くで見守っててくれ、東卍の最後を」
「はい」
カノトは少し寂しげに微笑んだ。
「カノの特服姿も明日で見納めかー」
「万次郎くんの特服姿も見納めですね。似合っていたのでもう見られなくなるのが残念です」
「カノが見たいって言うなら着てやってもいいよ。そんで着たままヤ…」
「ヤりません」
.