第12章 バイバイ…
ベッドの上に正座して、秀一くんに懸命に話した。
「やっぱり…よくない。よくないよ…。こんなの」
「なに…言ってんの?」
「和也、殺しちゃったんだよ?お母さん達に言って、自首して?」
うっすらと浮かべていた苦笑いも消え、秀一くんの瞳には光が刺さなくなっていた。
「お前…俺の事好きなんだろ?いいじゃないか…あんな奴いなくたって、俺さえいれば!!」
「キャァ!!!」「うわぁ!!!」
秀一くんが叫んだのと、お母さんたちが叫んだのは同時だった。
バタバタと、この部屋に入ってくる二人。
「美琴!秀一くん!ひ、人が奥の部屋で…!」
青ざめて説明するお母さん。
あぁ…和也を見つけたんだ。
「チッ…計画がメチャクチャだよ…」
のそっと秀一くんは立ち上がり、お母さんたちの方に歩いていく。
「け、けけけ、警察に…!」
お父さんが電話に走りだす。
秀一くんはその後を追って、私からは二人の姿が見えなくなった。
「美琴…!」
お母さんは私に駆け寄り抱きしめた。
「…っ!うあぁあん!!おかっ…さん…っ!」
子供みたいに泣いた。
お母さんの腕の中で。
そのとき。
「ぐあっ…!!」
鈍い、肉の裂ける音と共に、お父さんの苦しそうな声が聞こえてきた。
「…!!」
秀一くんだ…。
実の父親を…殺したんだ…。
ぎゅっと目をつむり、お母さんを私も抱きしめる。
お母さんはすべてを察したようだった。
少し離れて私と目を合わせるとにっこり笑って言った。
「美琴…逃げましょう…!」
こんなことになるなんて…。本当にごめんね。って、謝ってくれた。泣きながら。
「困るなぁ。お母さん…」
ビクッと体が跳ねる。
「秀一…くん…」
お母さんが立ち上がりながら振り向いた。
「ダメ!お母さん逃げて!!」