第10章 ……和…也…
「殺さないで……殺さないでぇ!」
泣きながら訴える。
秀一くんがゆっくりとこちらを向く。
手の位置はそのままで。
「ナンデ?」
小さい子供が聞くような、キョトンとした顔、声。
言ってる意味がわからないというように秀一くんは聞いてきた。
「なんで…って…和也がいなくなったら私困るの!」
拳を握りしめ、なるべく声が震えないように伝えた。
「へぇ…コイツが死ぬとお姉ちゃん困るんだ…困らせるのはちょっと嫌かな」
…てことは!
殺さないでくれるのかな!
「わかったよお姉ちゃん…」
「!秀一くん!ありが」
「まぁ僕がいれば困ることなんて何もないよね」ニコ
「…え?」
何を言っているのか理解できなかった。
いや、理解できたら凄いと思う。
それは…その言葉の意味は……
殺すってことなの?