第8章 あの日から
私が秀一くんに閉じ込められて、もうどれくらいだろう。
この部屋は暗くて、狭くて、朝か夜かもよくわからない。
ピンポーン
インターホンがなったな。
和也?じゃあ朝かな?
「おはよ、美琴は?」
「ごめんなさい。今日も調子悪いらしくて…」
「まだ?……やっぱ顔見たいんだけど」
「いや!本人会いたくないって………」
「……………………わかった。じゃ」
また秀一くん、誤魔化してる。
和也。私はここに居るよ?出して……助けて……
キィとドアが開く。
部屋の電気でさえも眩しく感じる。
「まったく、毎日毎日……ウザいね、あの和也って人」
「和也は……いい人だよ」
「………お姉ちゃんは優しいね。あんな人を庇うなんてさ」
和也は、私のことを心配してくれてる。
……今なら、逃げられるんじゃないか……?
よく見ると、ドアは開いている。
秀一くんが入ってきた時に開けっ放しなんだ。
走れば……出れるかな?
もうこんなの嫌だよ………!
『出たい』
その気持ちしかなかった。
気持ちで走った。
けど、当然、逃げられない。