第5章 貴方に優しく他人に冷たく…
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キッチンに立って料理をしているのは彼……ではなく私。彼はやることがあるらしく、別室へ行ってしまった。
「…」(美味しそう…!)
とにかくお腹が減りすぎて死にそう…。
「…」(紘太さんは……食べてくれるかな…。)
彼に対して特別な感情を抱いているわけではないけれど、住まわせてもらっている身(強制)なので出来る限りのことはしたい…。
「…」(出来た…!)
2人分のご飯ができた。オムライス!
「…」
部屋のドアをノックして彼が出て来るのを待った。すぐに足音が近づいてきてドアが開いた。
「あ…っ…ご…ご飯……作ったんですけど…た、食べますか…?」
聞いて思った……。
「…」(こんなのいらねぇよ…とかって捨てられるかな……え…め、迷惑だったかな…。)
そう思ったけど、彼は食器を受け取ってくれた。
「…食う。」
「!…」
「……あ…。」
「…?」
「……ありがと…。」
「!…」
少しだけ赤く染まった彼の頬。
不覚にも……
ドキッとしてしまった。