第3章 病室にて 鶯丸
穏やかな時間を過ごしていた。
数日前に急病で入院したが、順調に回復し、日中はベッドの上でなら好きに出来る程度にまでなっていた。
腕に点滴を受けている以外は健康なときと変わらない。
特に時間に追われることもなくベッドの頭の部分を20度ほど持ち上げ本を読んでいると来るはずのない客人が来た。
「…なんできたの?」
「理由が必要か?」
「本丸一週間休みにするって連絡したでしょう。あと見舞いはいらないって。」
病室に入ってきたのは主がよく知っている緑髪の男だった。
「そうだな…あえて理由をつけるとするなら、君を怒りに来た。」
数日遅れたとはいえ本丸には連絡したのだから怒られる要素はないはずだ。
怒りに来たと言いながらも穏やかな雰囲気を崩さないこの男は何を考えているのか読めない。
部屋の入口から移動し、ゆっくり面会者用の椅子を広げながら話を続ける。
「近頃どうも様子がおかしいとは思っていた。この暑い時期に長袖を着込んで、それでも寒そうにして。食も細くなっていたしな。」
「う…知ってたの?」
「観察するのは好きでな。
ただまあ、君が何も言わないのでこちらも黙っていた。
それが4日前から全く姿を表さなくなって…
心配するなという方が無茶な話だ。」
言いながら私の髪に指を通して遊び始めた。
白い大きな手が、細いけれどしっかりした指が触れて思わず動揺してしまった。
思わず何してるのと振払おうとしたが、点滴をつけているので片腕はまともに動かせないし、もう片方の腕もやんわり押さえつけられてしまった。