第5章 切ない記憶の断片
「では、小野さん、おやすみ。
本当は君を美術館に誘おうと思ってた。モネのジヴェルニーの睡蓮を
一緒に見たいと思っていたんだ。」
穏やかに言った煉獄さんの言葉に、気がついたら応えていた。
「私も、また見たいんです。煉獄さんと一緒に!」
絵も見たいけど、また煉獄さんに会いたいと思った。
「…ああ!ではまた休みを合わせよう!おやすみ。」
「煉獄さん、おやすみなさい」
煉獄さんは笑顔で言うと帰って行った。
胸の中で、さっき煉獄さんが言った、君といると安心する、という言葉が何度も繰り返されていた。