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3ヶ月の恋人(鬼滅の刃 煉獄杏寿郎)

第8章 愛しい人の記憶


杏寿郎様は私の両親に結婚の承諾をもらいに行くと言っている。
私は、ついにその日が来たと思った。
これまでも、何度か杏寿郎様の事を話したいと思っていたけれど、杏寿郎様が家に来るまでは、言わずに我慢していた。
だけど、おめかしをして出ていく私を見て、きっと両親は何かを感じていたかもしれない。


「愛子さん、俺と結婚してください。」

言葉と共に杏寿郎様は美しい百合の花束を私に差し出した。

「君のように可憐な花だろう。俺の大切な人、ずっと一緒にいよう」

甘い香りに包まれて、私はうっとりと花束を受け取る。

「杏寿郎様、お受け致します。」

私は杏寿郎様を見上げて幸せを噛み締めた。
今まで生きて来た中で1番幸せな日だった。

「愛子さん、明日から任務で少し留守にする。
40人程が汽車の中で行方不明になる事件が起きている。向かわせた隊士が消息を絶ったので、俺が行く事になった。
今日はご両親にご挨拶をして、任務が終わったらすぐに結婚しよう。」

杏寿郎様はいつもと変わらない元気な様子でそう言った。

「大変な任務になるのでしょうか。でも、杏寿郎様の事ですから、きっとご無事に戻られると、愛子は信じております。
武運長久をお祈りいたします。」

料亭の個室は二人だけだったので、杏寿郎様は私を引き寄せて、胸の中に抱いた。初めて杏寿郎様の胸に包まれた。
あれほど触れたかった杏寿郎様の胸に強く抱きしめられて、私は心が打ち震えるように嬉しかった。
杏寿郎様の胸は、とても温かくて、落ち着いて、そして、お互いに着ている着物がなければ良いのに…と思ってしまう程に色香が漂っていた。
うっとりしながら杏寿郎様の胸に顔を埋めると、杏寿郎様が私の名前を呼んで、上を向くと、杏寿郎様が私の唇に唇を重ねた。
初めて交わす口付けは、とても甘美なもので、私は涙が流れてきた。






そして私は目を覚ます。
目が覚めた時、枕が濡れてしまう程の涙を流していた。

私は起き上がり、ティッシュで涙を拭きながら、先日、煉獄さんと車の中で話した事を思いだした。

私が夢で見た男の人は、煉獄さんが前に話していた、過去に生きていた人、煉獄杏寿郎さんだった。
煉獄さんに生き写しのようにそっくりで、凛々しい、煉獄杏寿郎さんだった。
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