第3章 無限
ほのかは甘味処に寄りお土産を買って不死川邸へと向かう
屋敷に行けば不死川は縁側で刀の手入れをしていた
「こんにちは」
「おお」
「今日はお土産持ってきましたよ」
「すまねぇな」
久しぶりに微笑む彼女の姿を目にして不死川は安心する
ほのかは不死川の隣に座り一息つく
煉獄邸からは少し距離のある道のり
街にも寄ったので小一時間は歩いた
「少し休んだら始めるか」
「そうですね」
今日も今日とて稽古をする
あの日以来、不死川はほのかの面倒をよく見ていた
それに甘えるようにほのかもよく顔を出していた
「少しは笑顔が出てきたんじゃねぇか?」
不死川はふと言った
「...前を向かないと、ですよね」
「そうだなぁ」
眉を下げて微笑む
彼女なりに前を向いているようだ
不死川との時間はほのかのぽっかり開いてしまった穴を少しずつだったが埋めていっていた
稽古は基本的に打ち込み稽古だ
何度も稽古をしているうちに不死川の癖をみつけて打ち込めるようになってきていた
しかし、その癖さえも生かす不死川はそう簡単に倒れてはくれない
いつも先に膝をつくのはほのかの方だった
稽古の合間の甘味休憩では不死川が毎度抹茶を振る舞ってくれる
それがまた美味でほのかは頬を緩ませた
「お団子とあう〜」
「本当うまそぅに食うなぁ」
幸せそうに食す姿を見ることで不死川も満足する
不死川の視線に気が付いたほのか
「やだっ、そんなに見ないでくださいよっ」
「減るもんじゃねぇだろ」
ほのかは恥ずかしそうに頬に手を添えた