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嘘つきのヒーロー

第30章 塞がれた個性


【心操人使side】

「“洗脳”ねえ…いい個性だけど三対一じゃあ分が悪いんじゃねえの?」

そいつは俺の背中を思い切り踏みつけた


俺は最初に一人に個性を使って話しかけた
しかし個性にかかった仲間を叩いたことで洗脳は解け、解除条件が衝撃だということがバレてしまった




そうなると俺はとても弱かった



そいつらは俺と会話しないように連携し俺を肉体戦に持ち込んだ
三対一の殴り合いでは勝ち目がない


殴られたり蹴られたりを繰り返され、体力を消耗していく俺にそいつらの一人が言った

「お前、俺に喧嘩売って生きて帰れると思うなよ」

そう言って細いナイフのようなものを取り出した



「俺らは辛くて叫んでるやつが大好きなんだよ、どこからいこうか?」

そう言ってそいつらは笑った


くそ…俺は何もできないのか
少しでもどうにかできると思った自分が甘かった



そう考えていると左の太腿に激痛が走った

「ぐッあッ…」

目で確認するとナイフが突き立てられていた
それを見てそいつらは楽しそうに笑っている


こいつら正気じゃない


そう思うのもつかの間今度は右腕に激痛が走る

「ゔッあ!!」

やばい、このままじゃ本当に…


耐えきれない激痛に悶えていると
そいつらの一人が俺のポケットから財布を出した


「おいこいつゆーえーだぞ、しかもヒーロー科」

「え、まじで?!」

「そりゃあ虐めがいがあるなあ」

そう言ってそいつらは興奮していた
すると一人が俺に話しかける




「お前、ヒーローの卵なんだろ、いいよなあ」

そう言って俺の手を踏みつける


「じゃあお前はその個性でヒーローになるわけだよなあ」

その顔を見て嫌な予感がした



「“声”出なくなっちゃったら大変だなあ」


そう言われ背筋がゾッとした




こいつ俺ののどをダメにする気だ
そう確信するとともに、相澤先生の言葉を思い出した


『 こういう個性のやつはいざという時、一人で戦うしかない 』


俺は今一人だ、何もできないんだな
ああ、俺死ぬのかな

せっかくヒーロー科に入ったのに


せっかく幻想に出会ったのに…





そいつらが俺の身体を取り押さえて
俺ののど元にナイフを当てた


そしてナイフに力が入るその瞬間










「…ッ…心操!!」

幻想の声がした。
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