第18章 孤独への疑問
【心操人使side】
「幻想は過去に両親を殺されてる」
次の日
相澤先生の口から出た言葉は信じられないものだった。
「え…そんな話知らなかった」
「…隠しているからな、あいつ自身も思い出さないようにしているんだろう。一年の頃は“家族”がトリガーになってよくああいうことになっていた」
そんなこと微塵も感じなかった。
普段俺と話す幻想は、冗談を言い合う幻想は、そんなこと感じさせなかった。
衝撃を受けていると相澤先生はまた話し出す。
「あいつはあの一件以来一人で強くなることに固執している。両親を救えなかった自分を払拭したいんだろう」
そう言って相澤先生は深いため息をついた。
だから幻想はあんなに一人にこだわってるのか。
「誰にも言わないで欲しい」そう言われたことを思い出した。
「そうだったんですね…」
俺がそう言うと相澤先生は俯きながら
「…まあ、幻想は間違ってはいない。俺らも幻想も、こういう個性のやつはいざという時、一人で戦うしかない」
そう呟いた。
それを聞いて、俺と幻想の個性について考えた。
目を隠されれば使えない個性。
口を塞がれれば使えない個性。
どちらもいざという時は一人で戦うことになる。
敵(ヴィラン)との相性が悪ければ最悪の場合、俺も幻想も為す術なく死んでしまうかもしれない。
ふと幻想の姿が目に浮かぶ。
ああ、本当にそうなのか?
ヒーローは一人で強くならなければいけないのか?
俺の中にある疑問は大きくなっていく。
ふと相澤先生は俺の背中を叩く。
「えっ…」
「お前の言いたいことは分かる、だがまずお前自身が強くならないと、幻想の抱えているものからはあいつを救えないよ」
そう言われ俺は静かに頷いた。