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嘘つきのヒーロー

第37章 涙もろい教師


【相澤消太side】

「Hey!イレイザー、ちゃんとスーツはクリーニング出したのか?」

突然そう言われ振り向くとマイクがにやにやと俺を見ていた。

「出してない」

「おいおい勘弁してくれよ、教え子の結婚式くらい小綺麗にしていこうぜ」

「…ったく、分かってるよ」

そう言って机に向き直ると、机の上の一枚のはがきが目に映る




心操と幻想が卒業してから三年、あいつらは二人で同じ事務所に所属しタッグでヒーロー活動をしている。



学生時代、心操から最初に相談されたときは、ただの若気の至りかと思っていた。

だけど違った。

あいつらは本気でお互いを支えていく道を考え
同じインターン先で確固たる連携を築いていった。



「あいつらほんとすげえよなー、初年からタッグでヒーロー活動して、話題性もチームワークもばっちり」

「…うるさいな」

俺がそう言うとマイクは俺に肩を組んできた。


「またまたー、お気に入りだった生徒が結婚するのちょっと寂しいんじゃねえの?」

「寂しい?…別に」


珍しい個性同士の話題性に富んだあいつらはメディアでも時折目にしていた。
寂しい…というよりもう見慣れている。


「あいつらは何かと学生時代も二人でいたからな、まあ今更っちゃ今更だよ」

俺がそう言うとマイクはすかさず茶々を入れてくる。



「幻想は?お前大好きだったじゃん」

「おい、誤解を生む言い方やめろ」

「だって一年の頃から色々お前が世話焼いてたじゃん?そーいうの、お前めったにしないのに」


そう言われ何だか居心地が悪くなる。
あいつの在学中、校長にも一度注意されたのを思い出した。



あいつの両親が亡くなったテロ事件の時、たまたまあいつを見つけた俺は
雄英に入ってきた幻想に酷く感情移入してしまっていた。



凄惨な現場であいつを見つけたとき、あいつは生きているのかも分からないような大怪我を負っていた。

しかし、驚いたのはその腕の中に少女を抱えていたこと。
爆風に当たらないように抱え込まれた少女は、幻想よりも比較的軽傷で済んでいた。

そしてその事件後すぐ、あいつの両親は亡くなったことを関係者から聞いた。



「それは反省してるよ、だけどそう言う意味じゃ心操だって同じくらいしてたろ」

俺がそう言うとマイクは「そうだなー」と興味なさげに応えた。
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