第7章 四国八十八鬼夜行
サクラside
『…っ…ん…』
頭がぼーっとする…
目を開けると目の前には夜の姿のリクオがいた
「姉貴」
『リクオ…?』
口の中が苦い…薬かなにか飲まされた?
そのせいで眠いのか…
「おう」
『私…確か…』
鴆に殴られて…
「大丈夫なのか?」
そういうリクオは少し心配そうな表情をしていた
『大丈夫…リクオ、みんなとは盃交わせた?』
「おう。」
『そう、ならよかった』
「姉貴は…」
リクオは何かを言おうとした
「…何でもねぇ」
どうやら、何か話しにくい事だったらしい
大方、みんなと盃は交わさないのかって話だろうけどね
『リクオ』
私の話、聞いてくれるかな
私の…過去の話
御門院家のことは言えないけど…
「ん?」
『私ね…「敵襲ー!!敵来襲ー!!」』
突然見張りの妖の声が響き渡る
「四国の奴らと思わしき軍勢が道楽街道をこちらに向かってくる!!
敵襲ー、敵襲ー!」
本家にいる妖達の動揺が伝わってくる
「この戦いが終わったら、続き聞かせてくれ」
リクオがそう言った
私は思わず苦笑いする
『そうね。まずは、玉章を倒しましょう』
「おう、行くか」
廊下を歩き、一番広い部屋に入るとそこには氷麗達がいた
リクオを待っていたのだろう
「お前ら、行くぞ」
リクオは庭側の襖を思い切り開く
「兢兢としてんじゃねぇ、相手はただの化け狸だろーが」
いつの間にか庭に集まっていた妖達に向かって言う
「リクオ様じゃ」
「夜のお姿じゃ」
妖達はザワつく
「猩影」
「え?」
「テメェの親父の仇だ、化け狸の皮はお前が剥げ」
「ハ…ハイ…」
リクオが百鬼を連れ、道楽街道へ向かう
私はリクオの横に並ぶ
道楽街道に着くとそこには四国八十八鬼夜行が待ち構えていた
「キミもやはり百鬼を率いる器。あの程度では脅しにもならないか…。
リクオくん…やはりボクらは似ているね
お互いの"おそれ"をぶつけようじゃないか。
百鬼夜行大戦の、始まりだ」
玉章はそう言うと本来の姿に変化する
『リクオはあんたとなんか似てないわよ。』
私がそう言うと玉章がこちらを向いた
「キミはきっと後悔するだろう。ボクらの元に来なかったことをね…」
『後悔なんてする訳ないじゃない。
勧誘がしつこいのよ。』