第5章 いざ高専へ
いよいよあたしは東京都立呪術高等専門学校に入学する。悟くんがいる学校。悟くんが来いよって誘ってくれた学校。呪術師としての第一歩。
だけど、ここに至るまでに、実は大きな試練があった。正直ギリギリまで高専に行こうかどうしようか悩んだ。
悟くんに「俺の見えるところにいて、ずっと俺のそばで、俺のこと見てて」と甘く囁かれ、最高潮にボルテージが上がっていたんだけど、悟くんが高専に戻ると待ち受けていたのは、予想もしなかった出来事で……。
お母様に高専に行きたいことを告げると大反対を受けたのだ。
これまで学業のことも、学校活動のこともあたしのやりたいようにやらせてくれて、成績が良くても悪くても口を出すようなお母様じゃなくて、世間一般でいうところの放任主義だったから、反対されるとは思ってもみなかった。
「夕凪、お願いだから、普通の高校に行って。そのために今まで勉強してきたんじゃないの? 進学して大学も目指したくて離れを用意してもらったんじゃないの?」
「お母様ごめんなさい。でもあたしは呪術師になりたい」
「絶対に許しません」
夏の終わりから年末にかけてこのやり取りをいったい何回した事だろう。