第1章 出会い
真面目に床を雑巾掛けしてたら「早く終わらせろ」って悟くんが偉そうに立ってる。
そこにいたら邪魔で終わらないって言ったのに悟くんはますますどいてくれなくて。「俺をどかしてみろよ」って意地悪してくる。
ムカついて突き飛ばそうとしたんだけど、この時驚いたことに、あたしは全く悟くんに触れられなかった。
触ろうとしたら抵抗みたいなものを感じて跳ね返される。
しばらくすると「あーもう限界! まだ未完成だな」そう言って悟くんは去って行った。
今思えばかなり初期の無下限を見たのかもしれない。
さらに「オマエの術式は呪力のタメを左右に分散させた方が効果的」とある日、偉い人みたいな難しい事を言ってきた。
実際にやってみるとより強い効果が生まれて、悟くんに「なんでわかるの?」と聞くと「俺、目がいいからな」って。
六眼の事を知ったのもこの時だ。単純にすごいと思った。
最強と毎日一緒だったあたしは特殊な子供時代を過ごしたのかもしれない。
毎日、呪力使って池まで駆けっこして、術式の見せ合いっこして、いろいろ破壊して遊んだ。
悟くんの事は正直、会ったその日から嫌いで、いじめるし、泣かすし、自分勝手だし、人間的にないわーってませガキなあたしは思ってた。
でも、呪術に関しては異次元な気がして。
あたしは悟くんのことすごい呪術師になるんだろうと、呪術界において守らなければならない人なのだろうと子供ながらに感じていたんだと思う。