第4章 抱擁
◇
「……ツ丸見え!」
ん……な、なに? なんか聞こえた。
まだ瞼が重くて目の周りがチカチカする。
シャワーで汗を流して、体がいい具合に冷えて、そのまま気持ちよく入眠したはずだけど?
「パンツ丸見えだって。襲われてーの?」
きゃっ!
ちょ、な、その声、もしかして……
目をこすりながらその方向に目を向ける。
「悟くん!?」
あたしは離れの勉強部屋の隣にあるベッドがある部屋でお昼寝をしていた。悟くんが戻る夕刻までの間、少し休息を取ろうと思ったからだ。
え? もうそんな時間? 頭のすぐ横に置いておいた時計を見るとまだ3時半だ。聞いていた時刻よりもぜんぜん早い。というかこんな所、悟くんに見られて恥ずかしい。
昼寝なんて小さい頃から何度も見られてるはずなのに、そんな風に思うってことはあたしが年頃になったって事なのかな?
パンツ丸見え、って言った……?
寝転んだ状態のまま慌てて確認する。お昼寝を始めた時は足首だけ出して身体全体を覆っていたタオルケットが、いつのまにかぐるぐると腰回りに巻きつけられている。どんだけ寝返り打ったんだ!
パンツに該当する部分をちらっと見ると片足だけ腿が露わになっていた。パンツは見えてないとは思うけど。
「きゃ、変態! 出ていってよ」
「離れの鍵をいつまでも俺に持たせてるオマエが無防備すぎる」
くくって笑ってる。
オマエが悪いじゃなく、無防備って言葉になったあたりは変わったなと思ったけど、いじめてくるような物の言い方はこれまでと同じだ。でもそんな会話も懐かしくて悟くんらしくてあたしは少しだけ笑った。
めくれあがっていた破廉恥なスカートを元に戻し、腿を覆って起き上がる。