第16章 ★ Sweet Memories
抱えられた脚を着地させてもらうのと同時に、蜜壺から白濁液がどろりと腿へ流れ落ちた。床に垂れてしまう前に慌ててティッシュで拭き取る。
「何年経ってもほんとに可愛い、僕の奥さん」
腰がガクガクで、座り込みそうになったあたしを彼が横抱きで抱える。
嫉妬の熱も、荒々しい性欲も、子供じみた独占欲もあたしのナカに全て出し切ったのか、悟くんは機嫌を取り戻してにこにこと嬉しそうだ。そんな彼に横抱きされたまま目が合う。
「ほんとに仕方のない人」
「こんな僕は嫌?」
嫌だったら、とっくに別れてる。
「ううん嫌じゃないよ……好き」
「恵よりも?」
「当たり前でしょ、愛してるんだから」
「ん。僕はその10倍、夕凪を愛してるけどね」
たっぷりの愛を乗っけられて、最後にもう一度お姫様抱っこ状態で深いキスが注がれる。いつまでも新婚みたいですよねと使用人から言われる事があるけど、そうなのかもしれないと思う。
っていうか、こういう事してるのきっとバレてるよね。それはそれで恥ずかしいんだけど。
ふと洋室の隅を見ると"京都"の文字が入った紙袋が目についた。身体を降ろしてもらい、それを手に取る。
「これは?」
「出張帰りのお土産だよ。夕凪が好きな生チョコ入り八ツ橋」
「わぁ、ありがとう嬉しい」
笑みを送ると、青い瞳は澄み切った空のように美しく煌めいて「その顔が見たかったんだよね」って微笑む。
「ごめんね、折角そんな風にあたしを思って帰って来たのに」
いくらうちの当主は少しガキっぽいとはいえ、ちょっと彼の気持ちを考えてなかったなぁと反省した。
多忙なスケジュールをこなして、お土産片手に早々に帰ってきたのに、そこで愛する人が他の人と仲良くしてたら、そりゃ面白くないよね。かまってほしくなるのもわかる。
だからって、いきなりこんな場所で恥ずかしい事して、体で確かめるのはどうかと思うけど、それくらいあたしの事を取り戻したかったんだろう。少し可愛くもあり、そんな彼の愛が愛おしくもある。
「次からは出張から戻る日は、悟くんだけを迎え入れるようにして待ってるよ。あと……この間、言葉が足りなかったけど、最強でもあたし、いつもあなたの無事を祈ってるから」
洋室を出る前に最後にそう最愛の夫に告げた。