第16章 ★ Sweet Memories
【五条Side 1】
いったい僕は何を見せられてんだろうな。
目の前には、僕が目をかけてる二人がソファに並んで座っている。ひとりは恵、そしてもうひとりは最愛の妻だ。
呼吸がピッタリと言うのか、噛み合ってるというのかやけに仲がいい。楽しそうに会話してる。
「恵くんこの間はありがとう、助かった」
「あんなの見たらほっとけないですよ」
「優しいよね、背負ってくれるなんて。重かったでしょ」
「普段やってる任務に比べたら全然大した事ないです」
「頼もしいね」
なんの話をしているのか皆目見当がつかない。この間ってなんだ。背負うって、まさか恵は夕凪をおんぶしたのか?
そんな話は聞いてないぞー。咀嚼していたずんだ餅を、日本茶で流し込むように飲み込み、口を開く。
「ねぇ、さっきからなんの話?」
「あぁ、ううん、なんでもないの。当主は気にしないで」
夕凪はにこって可愛らしい笑顔を向けたけど、僕だけハブにされたってことだよな。いい気分とは言えない。